株式会社エデュース
代表取締役社長

松本 雄一郎

学校法人共立女子学園
理事長

御手洗 康

学校法人共立女子学園

【学校法人共立女子学園さま】
対談相手:御手洗 康氏(学校法人共立女子学園理事長)

1. エデュースの20年間

松本:2022年3月11日、おかげさまで、株式会社エデュースは設立20周年を迎えることができました。共立女子学園様におかれましては、当社の設立に際してご出資いただきましたこと、改めて感謝申し上げます。

御手洗:設立20周年おめでとうございます。20年間にわたる時の流れの中で、学校法人を取り巻く環境も大きく変わりました。本学園としても、エデュースのみなさまには多大なるご支援を賜り大変感謝しております。

 

松本:2002年に当社が設立登記された時、貴学の3号館を拠点としていたことを思いだします。設立準備をする約半年間は貴学3号館1階の会議室をお借りしておりました。まさに貴学がエデュース発祥の地でもあります。

御手洗:そうでしたか。当時の大学職員のベンチャーということですね。大変なご苦労があったと思いますが、素晴らしいチャレンジだと思います。

松本:ありがとうございます。当時はそれぞれの大学が独自でシステム開発するのが当たり前でしたが、長期にわたり安心して利用でき、かつコストダウンが実現できるシステムを作りたいと考えておりました。当社の設立の半年前から現在のACOfficeシリーズの財務系、人事系システムの開発を開始しましたが、パッケージシステムをゼロから製品化するということもあり、完成まで時間がかかり、当初はその品質も必ずしも満足いただけるものではなかったため、現場の皆様にはご迷惑をおかけしました。それでも完成から今日に至るまで長きに渡りご支援いただき、改めて感謝申し上げます。エデュースには「つながって、強くなる」という精神がありますが、貴学をはじめ全国の学校法人へのご支援を通じてつながることができ、結果として成長させていただくことができました。

2. 共立女子学園の歴史とこれからの教育の在り方

御手洗:本学園は2016年度に創立130周年を迎え、2022年度で創立136年になります。この伝統を活かしつつ、新たな一歩を踏み出したのが、2020年度、大学5学部目となるビジネス学部の開設です。この設置構想は創立130周年を機に検討に着手し、ビジネス学部開設まで4年を要しました。いろいろな分野の学部を模索しましたが、本学園の創設時の「共立女子職業学校」の設立趣意を確認し、「原点回帰」を意識して、経済・経営系の学問分野を選択し、且つ、「リーダーシップ」をコアカリキュラムの一つにしました。このことは、大学の発展に大きく寄与するだけでなく、学園にとって大きな成果だったと考えています。

松本:「リーダーシップ」をコアカリキュラムの一つに位置付けたのですね。直近ですと2023年度には建築・デザイン学部の開設が予定されておりますが、どのような教育を行うのでしょうか。

御手洗:2023年度には、6学部目となる「建築・デザイン学部」を開設します。こちらも本学園の設立時より重視している実学教育を実践する工学・美術系の要素を備えた学部です。建築・デザインを学ぶ上で最適な環境にすべく、デジタル機器を活用しながらアイデアを形にする環境として、デジタルクリエーションラボやVRシステム等を整備します。学部名称は、ビジネス学部と同様に日本初となります。

松本:自分たちの設立の理念を確認し将来構想を描くことは大変重要な事で、私たちも常に大切にしていきたいと思っています。

御手洗:社会の変化が早く先を見通しづらい状況では、迷うことや壁にぶつかる場面もあります。そうしたときは、原点となる建学の精神に立ち返り、軸足を整えたうえで、思考・想像します。発想の転換や視点の逆転等、試行錯誤を繰り返しながら、解決の糸口を掴んでいくのです。

松本:そうですね。私の大学職員時代を振り返ってもそうしたことを意識し、施策を考えていたことを思い出します。貴学の建学の精神は「女性の自立と自活」校訓は「誠実、勤勉、友愛」ですね。これらを踏まえ、今後、力を注いでいくこと、将来展望等はございますか。

御手洗:「リーダーシップ教育」の実質化、この一言に尽きると思います。設置校の中でリーダーシップ教育の先陣を切ったのは、大学・短期大学ですが、2023年度から始まる第三期中期計画では、「リーダーシップ」を、共立女子大学大学院、共立女子大学、共立女子短期大学、共立女子中学高等学校、共立女子第二中学校高等学校、共立大日坂幼稚園のすべての学生・生徒・園児の学びの方向性にするとともに、本学園の教職員の職務遂行の指針にすることにしました。このことから、「リーダーシップの共立」を掲げることとしました。一部の学部や一部の授業等でリーダーシップ教育を行っている学校はありますが、本学園のように、全設置校共通の教育指針として「リーダーシップ」を掲げる学校法人はありません。

松本:確かに、学校法人が設置する全ての設置校の共通の指針として「リーダーシップ」を掲げているところは珍しいですね。貴学では、「リーダーシップ」というものを、どのように解しているのでしょうか。

御手洗:本学園が目指すリーダーシップとは、「自分らしいリーダーシップを発揮し、他者と協力し合いながら物事を進めていく力」のことです。この目指すリーダーシップを「共立リーダーシップ」と呼称しています。

松本:「共立リーダーシップ」は大変興味深いですね。どういうところに特徴があるのでしょうか。

御手洗:「リーダーシップ」と聞くと、「力のある一握りの人が持つ才能・能力」と思い浮かべる方が多いのではないかと思います。しかし、社会の変化のスピードが速く予測困難な現代においては、権限を持つ「リーダー」だけでは対応していくことが困難な場面も多くなってきているのではないでしょうか。皆が変化を敏感に感じ取り、その課題に即座に対応していくことが今は求められます。そのためには、誰もが視野を広く持ち、リーダーシップを発揮しながら他者と協力し合い、物事を進めていく力が必要です。そういった力が本学園の創設理念と密接に関係しています。

松本:なるほど。どのように関係しているのでしょうか。

御手洗:本学園は「共立女子職業学校」として創設し、創設の経緯は34人が発起人となり共同設立したことから「共立」と冠されています。34人が同じ志を持ち、それぞれがリーダーシップを発揮し、協力し合ったからこそ本学園は今存在しています。 その精神は創立後136年の間、脈々と受け継がれています。

松本:そのような歴史があったのですね。 確かに、弊社でも多くの課題がありますが、「リーダー」など特定の役職者だけで解決することが困難なケースが多くなっています。変化が激しい時代だからこそ、臨機応変に個々が能力を発揮し、物事にあたっていく必要がありますね。

御手洗:現在、2023年度からスタートする第三期中期計画の策定に向けて検討を進めておりますが、第三期中期計画では、10年後にどのような学校でありたいか、各設置校の将来像「ビジョン2032」を示します。この各設置校の10年後の将来像に「リーダーシップ」を明示的にすることとし、「共立リーダーシップ」を発揮できる人材養成をすることを改めて宣言していきます。学生・生徒・園児をはじめ、保護者、社会などのステークホルダーの皆様に「リーダーシップの共立」を認知してもらえるよう精進していく所存です。

松本:それは頼もしいですね。弊社の社員も、自分らしいリーダーシップを見つけ、磨いて、どんどん発揮してほしいと感じました。

3. これからのエデュースに期待すること

松本:本日はありがとうございました。最後になりますが、今後のエデュースに期待することは何かありますでしょうか。

御手洗:今後も、これまでと同じように、学校法人とつながり、ともに強くなっていただきたいと思います。互いにリーダーシップを発揮し、協力し合っていきましょう。共同設立の本学園と、共同出資のエデュースは、「共同」という意味では同じですね。同じ目的に向かい、それぞれがリーダーシップを発揮したからこそ、今があるのだと思います。

 

 

松本:エデュースは、設立の精神である、「つながって、強くなる。」をこれからも大切にしていきます。多くの学校が1つとなって共通のコストを集約することで生み出された時間や財源を学生や生徒のために使っていただくことを目指して、20年間様々なサービスを提供し続けてきました。これを今後も続けていくことで、結果として、学校法人運営がさらに効率化され、教職員のみならず、その先の学生・生徒のためでもあることを常に意識していきたいと思います。貴学と同じように原点を大切にし、今後も歩んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。

学校法人共立女子学園 プロフィール

1886年3月、女性の自立と社会的地位の向上を目指し、34人の先覚者を発起人として設立されました。今日まで「女性の自立と自活」を建学の精神とし、「誠実・勤勉・友愛」を校訓に掲げる教育機関として女子教育の歴史と伝統を築いています。