株式会社エデュース
代表取締役社長

松本 雄一郎

学校法人中央大学
理事長

大村 雅彦

学校法人中央大学

【学校法人中央大学さま】
対談相手:大村 雅彦氏(学校法人中央大学理事長)

1. 中央大学の職員による会社設立

松本:2022年3月11日、おかげさまで、株式会社エデュースは設立20周年を迎えることができました。中央大学様におかれましては、当社の設立に際して設立発起人としてご出資いただきましたこと、改めて感謝申し上げます。

大村:設立20周年おめでとうございます。スタート時には大変なご苦労をされたと思いますが、広く全国16校の大学が共同で出資して設立した事業会社ですから、この20年の間に規模が大きくなると共にますますエデュースが果たす役割が広がっていったと思います。


松本:ありがとうございます。当時、私は中央大学の職員として経理部に勤務しておりました。当社の設立に際しては、中央大学が他の大学に呼びかけて、複数の大学による共同出資事業としてスタートしました。その経緯で、私が中央大学に在籍したまま、株式会社エデュースへの出向という形で代表取締役に就任いたしました。その後2011年7月に中央大学を退職し転籍いたしました。

大村:そうでしたね。学校法人が共同出資して設立した会社という、これまでにない新しい試みに中央大学の職員がチャレンジしたということは、本学としてとても名誉なことです。そして現在、みごとに20周年を迎えられ益々成長されているという事は大変素晴らしい事だと思います。

松本:この20年間に多くの出資校においても理事長はじめ当社設立にご支援ご尽力いただいた方々も交代されましたので、当時の経緯や苦労話を知る方もかなり少なくなっており、改めて20年という月日の長さを感じております。おかげさまで業績につきましては設立5年を過ぎたあたりからは右肩上がりに成長し経営も安定的になり、現在は100名を超える社員が在籍する会社となりました。

大村:それは素晴らしいですね。そして現在、松本社長には中央大学常任理事として本学に戻っていただき重要な役目を担っていただいております。これは本学のことをよく理解していただきながら、他大学の事情にも精通し、また企業経営の経験もある方に担っていただくことで初めて改革が出来るのではないかという思いから選任させていただいたという趣旨がありました。

松本:ありがとうございます。中央大学を退職してから約10年経過して、また母校であり、私を育てていただいた中央大学に貢献できる機会をいただきましたこと、大変名誉に感じております。常任理事という重責に身の縮む思いですが精一杯理事長をサポートして参ります。

2. 中央大学 中長期事業計画の策定について

松本:中央大学は2035年に創立150周年を迎えますね。本日はこれまでの軌跡や今後のビジョンについてお話を少しお伺いできたらなと思います。まずは、2015年に発表した中長期事業計画の策定についてお話を伺えますでしょうか。

大村:2015年の創立130周年を機に、今後10年間の中央大学中長期事業計画「Chuo Vision 2025」を策定したわけですが、当時、私は常任理事として計画の取りまとめを担当しました。それ以前の経験から、100%の完成度の計画を策定していたら永遠に前に進めることが出来ないので、個人的には8割主義と言っているんですが、8割方計画が固まった段階で前に進んで良いというのが、私の哲学となっています。Chuo Vision 2025では、これこれが抜けているとか不十分だというようなご批判もありましたけれども、それは織り込み済みでした。

松本:私も完璧な計画は存在しないと考えています。直近では新型コロナウィルスの感染拡大によって、在宅勤務やオンライン授業などこれまでの生活様式や価値観が大きく変わりました。この経験からも言えますが、ある程度の骨格ができればあとは実行しながら修正していく柔軟さが大切だと思います。しかし学校においては、周りの環境が変わっても一度決定された計画を遵守することが重視されるような慣習が多く残っていると感じています。

大村:その通りですね。走りながら考えるという部分を2~3割残しても良いという思いを持って進めております。私学を取り巻く環境も大きく変わる中、学内一人ひとりの意見や考えを完全に一致させて進めていくことは重要ではあるものの、非常に困難であり、意見調整に追われてずっと決められないまま時間だけが経過していくことになりかねない。それはあってはならないと思います。

松本:続いて150周年を迎えるにあたっての展望をお願いできればと思います。

大村:本学では、2035年に創立150周年となります。2026年からスタートする中長期計画が150周年に向けた計画になりますが、何をやるべきかについてはこれからの2年間で、法人と教学で議論していくべきだと思っています。

松本:「グローバル化」や「DX化」というテーマを中長期計画の重点施策に据える大学が多い印象を受けますが、本学においてはいかがでしょうか。

大村:基本的には現在の中長期計画がベースとなりますが、グローバル化とDX化は本学でも重要テーマだと認識しています。特にDX化については、コロナ禍の影響もあり教育現場のオンラインが進み運営方法やメリットなどナレッジが蓄積されました。インフラ環境も整備し世界の大学との距離が近くなりました。DX化の推進によってグローバルの垣根がずいぶん低くなったのではないかなと思うんです。

松本:もちろん実際に海外に行って現地でなければ身につかないスキルや経験もありますがその前段階の準備がオンラインを使う事でずいぶんやりやすくなったと思います。そういう意味では教育の在り方がコロナの時代を経験することでずいぶん変わってきたと思います。

大村:そうですね。本来はコロナ禍以前から積極的にDX化を推進すべきだったと思いますが、今回の経験を活かして150周年にむけた新しい中長期計画ではさらにDX化を進めていきたいと思います。

松本:DXはIT技術を使った業務効率化に注目されがちですが、組織文化や風土を変える力を持っているので、これまでの当たり前だった教育の在り方や仕事の進め方など古い価値観を見直し変革するチャンスだと思っています。

3. これからのエデュースに期待すること

松本:本日はありがとうございました。最後になりますが、今後のエデュースに期待することは何かありますでしょうか。

大村:学校の中にいると古いルールや慣習を変えられずなかなか前に進めない事も多いです。そのような時に、エデュースが外部の視点から積極的に改革・改善に対してご助言いただければありがたいですし、それは本学に限らず多くの学校法人がエデュースに期待する部分だと思います。

松本:ありがとうございます。我々の持てる力を最大限発揮して貴学のご期待に沿えるよう努力いたします。常任理事についても任期までしっかりと理事長をサポートしていければと思います。引き続きよろしくお願い致します。

学校法人中央大学 プロフィール

明治18年(1885)7月、東京府神田区神田錦町に英吉利法律学校(イギリス ホウリツ ガッコウ)として創設されました。現在8学部、大学院7研究科、専門職大学院2研究科のほか、9研究所、4附属高等学校、2附属中学校を擁する総合学園となっています。