株式会社エデュース
代表取締役社長

松本 雄一郎

学校法人創価大学
理事長

田代 康則

学校法人創価大学

【学校法人創価大学さま】
対談相手:田代 康則氏(学校法人創価大学 理事長)

1. エデュースの20年間

松本:おかげさまで、2022年3月11日をもちまして株式会社エデュースは設立20周年を迎えることができました。創価大学様におかれましては、当社の設立に際してご出資いただきましたこと、感謝申し上げます。


田代:改めまして20周年おめでとうございます。多くの学校が共同して業務システムを作って使おうということをきっかけに設立され、最初は小さな会社でしたが、今では社員100名を超える企業へと成長されましたね。
 

松本:ありがとうございます。大きな会社を目指した訳ではございませんが、多くの学校様の要望にお応えするうちに、少しずつ社員が増えていきました。我々としては売上高や社員の数というのは、学校に対する貢献度のバロメータと考えております。売上高や社員の数が増えているということは、多くの学校にお役に立てている証と考えております。

田代:松本社長は当時中央大学の職員でしたね。大学職員でありながら会社を作られたわけですから、ご自身の強い思いでスタートされたのではないでしょうか。

松本:当時はそのような私の強い思いというよりは、いくつかの学校で集まって一緒に事務システムを作って使うことで、結果としてコストダウンが実現し、その財源をもっと教育・研究など学生・生徒のために使うべきじゃないのかと考えていました。まさか自分が社長になるとは想像もしていませんでしたが、発案した人が責任をもって経営すべきだということで社長に指名され、今日まで走り続けてきました。本当にあっという間の20年でした。

2. 創価大学様の取り組み

松本:創価大学様も昨年創立50周年を迎えられた事、お祝い申し上げます。

田代:ありがとうございます。昨年50周年を迎えましたが、開学当時、この周辺には、農家しかなく一期生として創価大学へ入ってきた私も「本当に東京か」と思うくらいに自然豊かだったことが懐かしいです。 

松本:今でこそ八王子駅から学校の間にトンネルも出来ましたが、当時は移動だけでも大変だったと思います。当時はスクールバスを運行されていたんでしょうか。

田代:いいえ、路線バスでした。元気な学生は1時間かけて歩いたりもしました。開学当時、創立者は、建学の精神とは別に2つの指針を贈られました。「英知を磨くは何の為 君よ それを忘るるな」「労苦と使命の中にのみ 人生の価値(たから)は生まれる」この2つです。勉強をして偉くなって、それを自分だけ良ければいいという生き方ではなく、学び得た知識をどう使うかという点を忘れない事だと徹底して言われていました。また、今でも入学式・卒業式で言われているのが「親孝行しなさい」ということです。どれだけの苦労をして皆を送り出してくれたかを考えること。また「勉強したくてもできなかった人たちの為に、自分が学んだ事を活かしていきなさい」と必ず言われます。開学当初から、創立者自ら世界の多くの大学と交流を結んできましたので、その流れを汲み、現在に至るまで留学先も広がりを持ちつつ継続的に交流を深めています。そのような点も、スーパーグローバル大学に選出された要因だと思います。

松本:学内を歩いていても、多くの留学生の姿を見かけますが、まさに建学の精神が生き続けているということですね。
 
田代:開学から50年、毎年学生を留学に送り出しますし、留学生の受け入れもしています。コロナ前は、短期留学生も入れると年間約1,000名の学生を送り出し、海外から約700名の留学生を受け入れていました。学生には、短期間でもどんどん世界に行って世界を見てほしいです。

松本:送り出す側も、色々な国や文化があるからこそ、ケアも重要ですが、世界に出るからこそ分かることも多いですし、色々な体験ができますね。
 
田代:そうなんです。日本の学生ももっと積極的に世界に行かないといけないですよね。

3. 全学体制で作ったグランドデザイン

松本:創価大学のグランドデザイン「Soka University Grand Design 2021-2030」を作成されました。この10年間で取り組むことについてお話を聞かせていただけますか。

田代:本学は、2010年~2020年までの11年間と、2021年~2030年までの10年間のグランドデザインを作りました。最初、2010年にグランドデザインを作成する際、「本学では、何を目指すのか」について考え冊子にまとめました。内容としては、やはり建学の精神を根本においた上で「私たちはどういう人間を育てたいのか」という点で、「建学の精神に基づいて、創造的人間を育成する」と決めました。創造的人間とは価値を創造し続ける人のことを言います。つまり「創価」の精神を持った人材を育成すると決めたんです。

松本:なるほど。「創価」の精神を持った人材になるためには、どのようなスキルが必要と定義されたのでしょうか。

田代:まずは「知力」です。勉強に励み知識を身に付けることが必要です。そしてもう一つは「人間力」です。知識だけではなく人間力も必要です。人間力を磨き、身に付けた知識をどう使うか、使い方が重要なんです。「知力」と「人間力」両方を培って「自分力」とし、それが、創造的人間なんだと定義づけました。この時に「Discover your potential」(自分力の発見)と全学で考えて決めました。

松本:学生一人ひとりには、無限の可能性があると思います。その可能性を大学の中で見つけて、伸ばして、そして社会に飛び立ってほしいということですね。これこそが教育の原点ですね。

松本:他の大学でもグランドデザインや中長期計画を立案していますが、教職員に浸透しないという課題を持っていることが多いと感じています。創価大学様はどのような工夫をされていますか?

田代:1回目のグランドデザインを作成したときには、学内の多様な意見を収集して1年間以上かけてディスカッションを重ねました。そのプロセスが基盤となり、今もしっかりと浸透していると考えております。

松本:なるほど、そのプロセスをしっかり踏んでいるから、出来上がったグランドデザインが「全学のもの」と認識され、現場で働く教職員まで浸透し受け入れられているんですね。理事長「発」や学長「発」のものではないというところがポイントなんですね。

田代:今回(2021~2030)も各部署から意見を吸い上げて作りました。グランドデザインは10年間のものですが、このビジョンを基に毎年4月1日に、学長ビジョンという形で「この10年間における今年1年はここに力を入れる」というメッセージを学長が発表しています。また冊子も発刊し全教職員・学生に配布しています。さらに年1回教職員に集まってもらい「学長ビジョン説明会」を行っています。職員80%、教員50%くらい参加しています。

松本:私の経験から、立派な目標を掲げても、作りっぱなしの学校も少なくないと思います。その点やはり毎年、しっかりと教職員に対し説明をしていく事というのが大切なんですね。素晴らしい取り組みだと思います。
 
田代:そうですね。これからも継続して取り組んでいきたいと考えています。また説明会では学長からビジョンを話し、私からは財政について説明しています。コロナ前までは懇親会も実施して、教職員同士がコミュニケーションをとるようにしていました。
 
松本:やはり10年というと、いつか意識が薄れてしまうし、毎年の事業計画も立てていくわけですから、いつしかグランドデザインと事業計画が乖離していくという学校はいくつも見てきていますが、やはりそれを、毎年確認される機会を持つというのは、本当に重要なポイントなんでしょうね。また学長も理事長も、その点を大変、ご苦労されているところなのかなと思いますね。みんなで生み出したものを、薄れさせないように動かれているということが非常に重要な点だと思います。

4. エデュースに期待すること

松本:本日はありがとうございました。最後になりますが、今後エデュースに期待することはありますでしょうか。

田代:
これからも安定したシステムを提供し続けていただきたいです。利用者にとって使いやすいシステムにするために多くの要望を取り込んだ結果、複雑化して安定性を欠いてしまい、メンテナンスに多くの時間やコストをかけてしまっているケースが多いとも聞いています。そのような学校に対して、業務の見直しを含めた的確なアドバイスができるのがエデュースだと思いますので、これからも期待しております。

松本:
ありがとうございます。業務システムの提供のみならず、広く学校の現場が必要とするサービスを提供していきたいと思います。18歳人口の減少により、多くの大学で経営が厳しくなってきています。社会的な価値や役割を終えた学校は潔く終えることも仕方ないかと思いますが、価値があって必要なのにうまく経営できていない学校があれば、私たちエデュースが是非お手伝いしたいですし、その地域に必要な学校は残ってもらいたいと思いますので、ご支援ができればと思っています。



田代:ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

松本:創価大学様におかれましては、引きつづき株主校として応援を頂ければと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。

学校法人創価大学 プロフィール

創価大学は、創価教育の理念を実現するため1971年に創立されました。建学の精神として、「人間教育の最高学府たれ」「新しき大文化建設の揺籃たれ」「人類の平和を守るフォートレス(要塞)たれ」の3つを示し、地域社会や地球社会の課題と真摯に向き合い、人々の幸福と世界の平和の実現に貢献する「創造的人間」、すなわち、価値創造を実践する「世界市民」の育成を目指します。